分水嶺とブータン国境

Bhutanese Border and Water Shed of Major Rivers in Bhutan

Bhutanese Border and Water Shed of Major Rivers in Bhutan

冒頭の地図は、ブータンの主要水系、すなわち西からアモ・チュ、ワン・チュ、プナ=ツァン・チュ、マナス・チュ(マンデ・チュ、チョコル・チュ、クリ・チュ、ダンメ・チュ)、ニャラ・アマ・チュ、ジョモ・チュの6大河川*[01] を分水嶺によって区分けし塗り分けたものである*[02]

別の言い方をすれば、そこに降った雨が、ブータン国境内のどこかでこの6本の主要河川に流れ込んでいる場所は色で塗られ、それ以外の場所は白地のままとなる。このうち、南部の白色部分は、ブータンの地形上、国境線付近ではほとんどの小川がそのままインド側に流れ落ちてしまう、つまり合流して大きな河川、流域を形成しないため結果的にこうなるのであって、常識的な意味での「分水嶺」があるわけではない。

これに対して、西部、北部、東部では、おおむね分水嶺が自然境界線として国境となっており、白地の部分は、おおざっぱな言い方をすれば「分水嶺の向こう側までブータン領とされている」特殊な地域ということになる。AやDの一部では河川が国境線とされているため、当然こういったことが起きる。このうちA、B、Cが中国国境であり、D、Eは現在インドが実効支配するアルナチャルプラデーシュ州に面したインド国境である。


  1. 実際にはジョモ・チュの流域面積はそれほど広くないし、国境内で合流してマナス・チュとなるとはいえ、マンデ・チュ、チョコル・チュ、クリ・チュ、ダンメ・チュを別水系として扱うのが現実的である []
  2. 主要な支流がわかりやすいように、塗り分けはさらに小さな単位で行っている。言い換えれば、ハ、パロ、ティンプー(ティン)・チュを塗り分けている。この塗り分けはAsterGDMの3次元標高データをコンピュータ処理することによって機械的に生成している。つまり、主観は入っていない。ただし、その際に最低面積などの変数の設定によって境界線の位置は若干変わるので、この境界線はあくまで相対的なものである []

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