ブータン言語分布図(1)

シンポジウムの勉強会用に、ブータンの言語分布に関する資料を作成しました

◆「ブータン言語分布図」+「ブータン及び周辺地域諸言語の相関図」
Bhutan Language Map Dec2012 (ここからPDFがダウンロードできます)

van Driemとゾンカ普及委員会が2001年に発表したブータン国内の言語分布図を、より正確な最新地図に基づき修正したものと、この分布図で示されている各言語および、周辺地域の言語の類縁関係を図示したものです。

1989年に始まったゾンカ普及委員会の調査以来、ブータンには17種類の歴史言語が存在するとされています。「村ごとに言葉が違う」と言われるブータンですが、ブラック・マウンテンより東ではレプチャ語、ロプ語(Lhokpu)を除く15言語が入り乱れているのに対して、西部はゾンカ(ガロン語)とその方言による比較的均質な言語状況であるというように、その分布状況には地域によって大きな差があります。文化史や地域文化に関する文献資料の少ないブータンにおいて、現在の言語分布は、その謎を解くための重要な手がかりであると言えるでしょう。

諸言語の分布域については、ゾンカ普及員会が分布図を作成しており、共同研究者であるvan Driemの諸言語分布図として知られており、現在も用いられています。しかしながら、当時の地図は不正確で、また現在とは県境などが違うこと、すでに調査から20年以上が経過しているにもかかわらず、その間の研究の成果が反映されていないことなど、いくつかの限界があることがわかっています。今回、より詳細な言語分布の検討と、van Driem分布図の再評価を行った結果、原図ではわからなかった興味深い事実がいくつも判明した一方で、新たな謎がそれ以上に見つかりました。今回の勉強会では、その経過を報告すると同時に、さまざまな観点から「言語分布の謎」について討論していきたいと考えています。

なお、分布図については、オリジナルのものから、明らかにおかしいと思われる部分を一部修正しています。主な修正点は以下の通り。

  • クルテ方言とザラ語の境界(クリチュ西 → クルテ・ゲオ、コマ、ゲオの境界)
  • ネパリ分布域の北限(中途半端な位置 → チラン、サルパンの北限)
  • ブロッパ語の範囲(方形に近い形 → メラ・サクテン・ゲオの境界)
  • ゴンドゥ語、ブロカット、ブラック・マウンテン・モンパ語(点 → 行政境界、自然地形から判断した適当な領域)
  • ブラック・マウンテン・モンパ語(3~5村を点で表現 → 東部3村は領域として表現、西部2村は正確な位置に修正)
  • ヘンカ[マンデビ方言](根拠不明 → 西側の境界はポブジ・ゲオ、南側の境界はランティル・ゲオ、コルプ・ゲオより北に)

オリジナルな図については、必要があればwikiの「Languages of Bhutan」のページの図を参照してください。

 

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2 Responses to ブータン言語分布図(1)

  1. takahashi says:

    コメントテスト

  2. 青木 薫 says:

    言語分布については、オリジナルにはまったくご呈示の地図通りなんですが、5~6年前から、このもともとの言語分布に非常に面白い、そして激しい変化が起こっています。再定住計画ってやつが、ブータンの言語地図を大きく塗り替えているのです。いまやチラン県に出かければ、ブータンのほぼすべての言語が収集できる!なんていう状況です。ちなみにこの再定住計画は、ブロッパに代表される放牧民の生活にも激変をもたらしています。メラ、サクテンは近い将来、集落としての機能を失うだろうと懸念されています。

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